インプラントの治療中には、歯がない期間が約3〜6ヶ月程度発生します。この期間に歯が無い状態で放置することは、数々のデメリットに起因するため、歯の機能の代わりとして「仮歯」を利用する必要があります。
人工歯を支えるために、歯根の代替となる支えを埋入する手術から開始します。歯茎を切り開き、アゴの骨に穴を開けてインプラント体を埋めます。インプラント体がアゴの骨や周りの組織ときちんと結合したり、傷が修復するためには、数カ月かかることが大半です。
ただし、奥歯については仮歯を入れない場合もあるので、奥歯がないのが気になる方は担当医とよく相談しながら治療に進みましょう。
目次
1.仮歯の3つのメリット
患部を細菌から守る「守護神」
歯は口内で話をしたり食事をしたり日常的に頻繁に稼働する箇所です。噛む際にかかる力や、食べ物や飲み物による温冷などの数々の影響が、直接インプラント体に加わることでインプラント体やその周りの組織に大きな負担を与えることになるため、仮歯は守護神として口内を守っているのです。また、口の中には約1000億~6000億の菌が常に生息していると言われており、これら細菌には歯周病や虫歯に起因する細菌も多く含まれています。インプラント体が安定する前に細菌の感染を引き起こしてしまうと、炎症を起こしてしまい、インプラント体の結合を妨害する因子になってしまう場合もあります。
歯ぐきやアゴの安定性を高める役割
人によっては、インプラントを入れる場所の歯ぐきや顎骨が圧迫されて形が変わっていることがあります。その様な時は、インプラント体を入れるのと同じタイミングで歯ぐきを元の形に戻し、外見を綺麗に見せるために、仮歯の形状を少しずつ調整して歯ぐきや顎骨の形状を安定させるという治療を選ぶ場合があります。また、仮歯の役割として人工歯の形成に役立つことが挙げられます。歯ぐきや顎骨の状態に応じて仮歯の形を整え、最後には人工歯の形状を決定することに繋がります。仮歯は一時的な代替品であると同時に、積極的に口内の状態を良好に保つことにも用いられます。
見た目が綺麗になり、歯並びの歪みが改善します
インプラント体は金属性なので、修復物を入れるまでの期間に仮歯が無いと金属がむき出し状態のままになってしまいます。周りの粘膜を損傷してしまうことにも繋がり、外見にもあまり良くありません。また、歯の隙間が出来てしまうと、サイドの歯がその隙間へ倒れたり動いたりと歯の並びが不正になる要因になります。インプラント体には人工歯が入るために金属性の細い芯であるため、サイドや対象の歯の位置を安定させることができません。仮歯を入れておくことで、最後には上部を入れるための空間を確保し、歯の並びが不正になるのを防いでくれます。仮歯は天然の歯があった時の口元の美しさを保つ効果もあります。
2.「仮歯」ってどのくらいの期間入れるの?
最初にお伝えしたとおり、インプラントはインプラント体を埋入してから約3~6ヶ月は人工歯を装着することができません。場合によっては、アゴの骨の状態が良く、埋めたインプラント体が骨にきちんと定着できていれば、手術当日に仮歯を装着することができる場合もあります。仮歯の期間はインプラント体がきちんと骨や周りの組織と結合したと確認できるまでの間ですので、患者の口内の健康状態や治療法によっても大きく異なります。仮歯で観察する間は、インプラント体を埋めた際の骨密度や骨量、インプラント体の数、埋めた際の最初の定着の時点での強さ等が大きく関係しています。
目安期間の詳細については、一度当院へご連絡くださいませ。当院医師が、状況を見て判断いたします。